オンボロバスツアーでレッツゴー!
我々一行は、全員一番前に座る。一番前だからすぐに気が付いたのだが、このバス、とんでもなくオンボロだ。本当に走るんかい、という疑問がわく。
証拠品として運転席近辺の写真を撮る。息子もそのオンボロさに驚いている。また窓には一切ガラスといえるものがはまっていない。すでに動く前からまるでジャングルツアーのようだ。
しばらくすると大柄な男の運転手さんが乗り込んできた。日本人が多数乗車したバスは、乗客を安心させるためか、日系の細身のおじさんが運転手だった。
この先どうなるんだろうと期待で胸が膨らむ。エンジン始動。なんと一発でエンジンがかかった。最初に日本人多数のバスが出発。数分してこちらも出発。
すぐに運転手さんが挨拶。「アロハ〜!こんにちは、元気か〜い。おらっちの名前は・・・だよ〜ん。これからムービーツアーにいくかんね〜!置いていかれないようにしっかり付いてきてね〜」なんていうようなことを英語でがなり散らしているようだ。雰囲気は同乗の欧米人の反応で分かる。
「これはこのまま英語でガイドか〜」と思ったとき、「みんな英語分かるっかなあ。分かんない人は正直に手を上げて〜〜!」なんていうアナウンスがあったので、最前列の我々は大喜びかつ欧米人ののりを引き継いで「は〜い!」なんて大声出して手を上げた。内気な息子も手を上げていた。
しかし喜んで手を上げたのは最前列の我々家族だけだった。後ろの人たちは恥ずかしそうで反応もいまいちだった。
以前は我々も遠慮したことが多かったが、最近は分からないのは当たり前、それを隠しても何の得にもならない、と思えるようになった。
運転手さんのほうは我々の反応を見て、「よっしゃ、分かったよ〜ん。安心してくださ〜い。私は日本語も少し話せますよ〜」なんて日本語で言ってくれる。
良かった良かった。一安心だ。やはり分からないものは分からないとはっきり言ったほうがいいのだ。分かる振りをしたら、全部英語でガイドされるところだった。
デコボコ道と絶景、撮影場所と豪雨を楽しむ
バスはすぐに山に入っていくのかと思っていたが、いったん入り口方面に向かった。おいおいそれじゃ一般道に出てしまうぞ、と私が思ったとき急に左折。バス1台がようやく通れるような道を進み始めた。
道はアップダウンを繰り返し、周囲に生い茂る木々の間を掠めながら少しずつ登っていく。5分ぐらい走ると急に右手の視界が開けた。運転手さんのガイドにも気合が入ってくる。
左側には防空壕、そして備蓄倉庫、右側は断崖絶壁で下のほうに紺碧の海が広がる。クアロアは戦争中は軍が駐留し、防護と備蓄を兼ねた施設があちこちにあったようだ。ここからは海が良く見えるので、格好の偵察場所だっただろう。
少しばかり道が広がり、その一角にバスが停車。一番大きいといわれている防空壕を見学してくるよう指示される。中には映画のポスターが貼られている。50mぐらいの奥行きである。見学そのものは5分程度で終了する。