第13日目後半 サーフィンチャレンジ、その結果は

必死の思いで沖に向かう

 「はい、それじゃボードに乗ってえ」というジョーさんの声。「え〜、ここで乗るのかあ」と思いきや、要するにパドリングで沖に向かえと言うことだった。

 やっとの思いで、堅くなった股関節に活を入れ、右足を水中から引き出しボードにまたがる。そのままの状態で、すぐにうつぶせになる。「おお、乗った乗った。浮いてるじゃないか」と当たり前のことに感動する。

 しかしボードは波が来るたびにゆらゆら揺れる。ひたすら体をボードにへばりつけ、少しでも揺れを押さえようと努力する。

 そんな私の情けない努力はまったく無視され、ジョーさんの非情な声が響く。「それじゃ、これからパドリングで沖に向かいますから、横一列になって私についてきてくださ〜い」。言葉は優しいが、まるで軍隊の鬼軍曹のようだ。しかもパドリングの方法だってちゃんと教えてもらってない。

 それでも鬼軍曹に怒られまいとして、しょうがないので私も必死に手を動かす。すると、不思議なことに?ボードが進むではないか。しかも想像以上に揺れも少ない。しかし掻き方が悪いのか、まだまだスピードは出ない。

 ボディ・ボードで散々遊んでいた息子は、どんどん先に進み、ジョーさんに「ちょっと待って」と声をかけられている。ようやくの思いで息子に追いつくと、すぐにまた出発となるので、結局私はず〜っと掻き続けだ。疲れることこの上ない。

 しかも前方から山のように見える高さ30cmぐらいの波が切れ目無く押し寄せてくる。波とは直角に当たらないと揺れが激しくなる、と言うことは釣り船で知っているので、必死に方向をコントロールする。これでまた疲れるが、波を乗り越えたときはちょっと快感だ。

 しかし、ついに恐怖の足が立ちそうもない海が迫ってきた。やはり想像通り、明らかに水の色が違う。波も心なしか高くなったようだ。しかし一同文句も言わず、黙々と進んでいる。

 ここまで来ておぼれそうだからと言って私だけ引き返すのも不甲斐ない。ともかく倒れてもボードにしがみついていればおぼれることはないだろうと覚悟を決めてついていく。

 水底はどこか、なんてことは一切考えないようにして、ひたすら前を見て進む。するとジョーさん、突然ボードから飛び降りて、「はい、ここで降りてください」と叫ぶ。水は胸ぐらいだ。「お〜、ついに難所を切り抜けたのだ。成せばなる」、なんて思ってもみたが、もちろん誰も褒めてくれない。鬼軍曹は厳しいのだ。


人のふり見て・・・・

 ようやくサーフィン・レッスンの場所にたどり着き、ボードからいったん降りる。しかし沖の方からは次々と波が押し寄せてくるので、じっとしていられない。クラゲのようにあちらにフワフワ、こちらにフワフワと漂ってしまう。

 なんとか位置を維持しようと足を踏ん張るが、海底はリーフで凸凹していて、あまり勢いよく足を動かすと擦り傷を作ってしまう。しかしさすがジョー先生。歴戦の鬼軍曹だけあって、水の中でがっちりとそのポジションを維持して、一同に整列するよう指示。一同必死の思いで並ぶ

 「それでは、やってみま〜す!」のかけ声で、先ずはもう一組の家族の息子さん(小学5年生)がチャレンジすることになった。どうするのかと見ていると、ボードを岸の方に向けそれにうつぶせにのる。

 安定したら、両腕でボードのサイドをつかみ、上体を起こす。背筋と腕の筋肉が必要だ。見ているだけで疲れる。ただボードはジョー先生が押さえてくれるので、ぐらぐらしたりはしない。

 最初はその状態のまま波に乗ればいいらしい。これなら何とか出来そうだ。ドキドキしながらも、若干期待感が出てきた。

 適当な波が来たところで、「行きますよ〜」のかけ声と共にボードが押される。すると何と不思議なことにボードがそのままス〜っと動き出した。上体だけが起きあがった姿勢だが、ちゃんと波に乗れている

 さすが、子供は運動神経がいいなあ、とうらやましげに見ていると、先の方でバランスをくずしドボン。「う〜ん、やっぱりおっかないなあ」と、期待と不安が交錯する。

 息子さんがパドリングで我々の位置に戻ってくるまで待って、続いて息子さんのお父さんがチャレンジ。40歳前後だろうか。まだまだ元気いっぱいだ。

 同じ要領で押され、うまく波に乗れた。お父さん、どうやらこれは行ける、と思ったらしく、途中で立ち上がろうと試みるが、やはりバランスをくずす。体が大きい分、水しぶきも大きい。あんなに激しく倒れるのかと、またもや一人で「う〜ん?」と唸ってみるが、そんなことで事態は解決しない。



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2009年 ハワイ旅行記


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