置き忘れ事件とゴードン・ビアージュ

事件発生

 炎天下の中を歩くのは一苦労だが、日陰を選んでチャイナタウンに向かう。チャイナタウンまでは500mぐらいだろうか。見慣れた街並みが現われる。目的の場所はグローイングドラゴン。行きたかったレストランリストに入っている。ところがこの店がなかなか見つからない。

 マウナケアMPの近くだということまでは調べていたが、細かいところは分からない。あちこち歩くが疲れる一方なので、こりゃダメだ、いつもの明園にしよう、ということに話が決まった矢先、事件発生。

 なんと息子が持ち歩いていた財布を入れたバッグがない。なんで持ってないんだ、といわれて初めて気が付く息子。盗られたか、落としたか、なんてことを記憶を便りに聞き出す。どうやらアロハタワーのフードコートに置き忘れてきたらしい。

 本人も事の重大さに気が付いたらしいが、どうしてよいか分からない様子。バッグの中には30ドル程度の現金の他に図書券等が入っていて合計すると1万円ぐらいになるらしい。図書券なんか持ってきてもハワイで使えるわけないだろう、というのは親の理屈。

 息子を攻め立てる前に、ともかくなんとかしなければならないと、即座にアロハタワーに戻ることを決意。座った場所は覚えているので、足の速い私が急いで戻り、連れと息子は後から付いてくるように指示。交差点の青信号が待ち遠しい。

 ハワイだからどうせ見つからないだろう、という思いが募るが、人の人情にはすがりたいし、やはり自分の家族のものとなればどんなに小額であっても、なんとか取り戻したいと考えるのが普通だろう。

 あれこれ考えをめぐらしながら、炎天下もなんのそので早歩きで戻る。ようやくの思いでフードコート到着。汗びっしょりだ。先ほど座っていたテーブルには幸いにも誰も座っていない。しかし近づいてがっかり。何も見当たらない。呆然として、家族を待つ。

 近くで従業員の人が働いているが、フードコート専門の人ではないらしく、すぐに姿を消してしまうので、声をかけるきっかけがつかめない。お店の従業員はテーブルのことまで知らないだろう。英語で事情を説明するのも、今の私の実力では辛い。どうするか。

 そうだ、ここにはJTBの受付所があった。こんなときどうするのかJTBに聞いてみよう。ちょっと視界が開けた。JTBに歩いて向かい始めたとき、連れと息子が到着。見つからなかったことを伝え、JTBまで一緒に行った。

 幸いにも入り口近くにお姉さんが居たので、忘れ物をしたのだがどうしたらよいか、と尋ねてみた。窮地に陥っているのが分かったらしく、このような時はセキュリティセンターがあるので、そこに行けばよい、と懇切丁寧に教えてくれた。お礼もそこそこに教えられた場所、1階の入り口左側のテントに向かう。

 こんなところがセキュリティセンターかと疑った。一旦は通り過ぎたが、他にそれっぽいところはなかったので、勇気を出して近づく。まず日本語は通じないだろうと覚悟した

 居合わせた屈強なおじさんに「Excuse me。Can you speak Japanese」一応言ってみたが、やはりノー。そこでたどたどしい英語。「My son lost his wallet or small bag at foodcourt」しどろもどろでこんな英語を言った。前置詞がatだろうがinだろうが、この際構っていられない。すると「Oh you!」と言って、付いてくるよう指示。

 テントの後ろ側奥に小さな受付みたいな部屋があって、今まさに息子の持っていたバッグの中身が並べられているところだった。やったー!指差して、「This is mine」思わず口から出た英語。このあと係員からこれが息子のものであるという証拠を何か提示して欲しい旨の説明があったが、そんなものは何もない。

 目の前に自分のものがあるのに、それが自分のものであると証明するのは意外に難しいものだ。ところが所持品の中に、どこかの日本の科学館で撮影した本人の写真入りの証明書が入っていて、最終的にはこれが決め手になった。

 係員も証明が出来てうれしい様子。私も安堵した。というわけで、事は一件落着。円満解決に至ったが、冷や汗ものであったし、いわゆるガイドブックに書いてあるなくした物は出てこないという記述は、必ずしも正しくない、ということもわかった。大多数のハワイの人は限りなく親切なのである。

 以後息子は最低限のドル以外、外出時には持ち歩かなくなった。ある意味では良い教訓になったかもしれない。

ゴードン・ビアージュのモッツアレラ・チーズピザ
ゴードン・ビアージュのチキン唐揚げ

ゴードン・ビアージュ

 予想だにしなかった事件がとりあえず解決して心身ともに疲れ果て、再びチャイナタウンに戻る元気はさすがになくなった。そこで比較的カジュアルで、前にも入った事があり印象の良かったゴードン・ビアージュに入店。(

 フーターズでも良かったのだが、入り口付近にたむろする美形のお姉さん方の印象が、いまいちきつく見えたので断念)入り口でミールクーポンかと聞かれたが、そうではないと答え、ようやく着席。

 ここまでの苦労代?として飲みやすいライトビールを注文。これにモッツアレラチーズピザを注文。ピザは大きいので連れとシェア。息子はキッズメニューから大好きなチキンを選択。飲み物はアイスティー。

 ピザは予想とおりうまかった。ビールは、ライトというだけあってさっぱりしている。バドワイザー系のビールが好きなので、このライトはとりわけうまく感じられる。地ビールは他にも4種類ぐらいある。いろいろ飲みたい人はテイスティングというメニューがあるので、これを選択すると良い。ただし量はかなりあるので、酔っ払うことを覚悟しなければならない。

 

 これだけの注文で値段は25.42ドル。チップを入れて30ドル払ってきた。チャイナタウンに較べると高い昼食になったが、味や量の点では充分満足できる。なによりほっとしたのでビールがうまい。食後はバスでワードエリアに向かった。息子も今回のことでショックを受けているようだったので、あまり追い込まないようにD&Bで楽しませることにしたのだ。

その他もろもろ

 バスを降りてワードに向かうと音楽が聞こえてきた。土曜日の午後は無料のエンターテインメントがステージで行われているのだ。早速見に行くと、妙に妖艶な少女たちがフラを踊っていた。

 妖艶なというのは、要するに年令はどうみても10歳から15歳ぐらいまでなのに、派手な衣装としっかりしたメークで、音楽にあわせて手や腰を動かしているからである。30分ほど見学してからD&Bに向かった。内容は説明済みなので省略。再びバスに乗りフードパントリー前で下り買出し。

クヒオビーチから見たサンセット

 やたら消費量の大きいグアバジュース、どうしても欲しくなった塩コショウ、ハワイで食べるのもいいかもと思ったレトルトカレー、同様に塩辛いものが欲しくなるのでサッポロ一番、これに肉以外のおかずとしてサーモン、つまみと朝食用にソーセージとハム、以上で22.95ドル。食材の買い物としては少ない方だろう。

 4時近くに部屋に戻ったが、いろいろなことがあったので、さすがに再び外出する元気が出ない。年令のせいかもしれないな、なんていう不吉な不安が頭をよぎる。

 そのまま夕食まで休憩。夕食後、ごく簡単にサンセット見学。息子もさすがに疲れたようで、今日は早く寝かせようと考える。帰り際私だけ寄り道してフィッシュボールインターネットカフェへ。メールや株価のチェック。25分ほどアクセスして3ドル。

 21時、部屋に戻ったが息子はすでに睡眠直前。私もビールを飲んで爆睡。波乱の4日目終了。普通のツアーならこれで帰国。とても優雅に酔っ払っていられない。



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