サーフィン・レッスン(その1)

 すでにご存じの方も多いと思いますが、2009年の夏、ハワイに通い始めて10数年、泳ぐ方はほとんど駄目な私が、生まれて初めてサーフィンに挑戦しました。旅行記と重なってしまいますが、何をするかの参考になると思いますので、ここにまとめておきたいと思います。

 朝食を食べ、サーフィン・レッスンの用意をする。といっても水着に着替えてTシャツを着るだけ。貴重品は盗難のおそれがあるので持ってこないように、と言われていたのでカメラを諦める。残念。
 
 9時に1階のロータリーに降りて、タクシー前の椅子に座り迎えを待つ。息子はやる気満々だが、私は不安がいっぱい

 無謀な挑戦だったのではないかという疑念が消えない。やがて電話で教えられた赤いピックアップトラックが、荷台にサーフボードを積んで現れた。降りてきたのは、まっ茶に日焼けしたジョーさん。年齢不詳だが若いのだと思う。

 トラックから降りて来たジョーさんと挨拶を交わしトラックに乗り込むと先客がいた。我々と同様のお父さんと息子さんの二人連れである。しかし年齢的には明らかに向こうの方が二人ともそれぞれ5〜10歳ほど若い。

 挨拶を交わし、乗り込むとすぐに発進。さらにヒルトンでお兄さんを一人乗せる。ただこちらの方はレッスンを受けるのではなく、ボードのレンタルとビーチまでの送迎だけのようだ。

 「今日はどの辺に行くのですか」という問いかけに、「アラモアナに行ってみます」という答え。「そうかあ、アラモアナかあ」と人ごとのように聞いていたが、ビーチの情景が頭に浮かんで来て、「あれっ、あんなところでサーフィンやっている人いたかな?」と疑問が浮かぶ。

 ご存じの方も多いだろうが、アラモアナ・ビーチは白い砂浜で波もほとんど無い、ひじょうに泳ぎやすく美しいビーチだ。しかもワイキキに比べると、人の数も少ない。岸から50mぐらいまで遠浅の海岸が続く。その先は深いようだが、泳げない私は確かめる術がない。

 あそこでサーフィン?できるんだろうか。と車内で思いを巡らしていると、そういえば沖の方には波が見えていたなあ、と思い出した。同時に、「えっ、じゃあんな所まで行くの?嘘だろ?」と胸の中でいろいろ自問自答。

 しかし車はそんな私の悩みとは関係なく、ケワロ湾手前の道路を左折して、ビーチ・パークに入った。道路脇に縦列駐車して、どうやらレッスンが始まるようだ。

 車内の雑談でほとんど泳げないことを強調したので、ジョーさんも若干気にしてか、「もし疲れちゃったら先に沖に上がってビーチで休んでいても良いですよ」、と声をかけてくれるが、実際のレッスン場所はビーチからかなり遠かったので、とても一人では帰れなかったに違いない。

 車から降りたジョーさんは、ラッシュガードとマリンシューズを装着するよう手渡し、荷台のボードをてきぱきと近くの芝生に並べる。

 「はい、それでは記念撮影します」とのことで、一同ボードの横に立ち、それっぽいポーズをして写真を撮ってもらう。この写真はブログに掲載済みだ。幸いなことに逆光気味なので、私の蒼白な顔は写っていない

 続いて即席レッスンの開始だ。「先ずはボードの上に寝てください」と言われ、一同トドのように寝そべる。その状態でボードの長さを実感し、どの辺に乗ればよいかを教えてもらう。

 続いて立ち方だが、最初はうつぶせで上半身だけ手を突っ張って持ち上げる。この状態で安定していたら、伸ばしていた足を前方に引きつけ立ち上がる。まあ特に問題はない普通の動作だ。ただそれを波の上でやれるかどうかということだ。

 みんなが納得したことを確かめ、「それじゃあ、行きま〜す」と簡単に声をかけ、二人で二台のボードを持ち海に向かう。持ってみると結構重いのでびっくり。こんな板の上に乗るのかあ、とあらためて実感が湧いてきたが、同時に極度の不安にも襲われる。

 海を見ると確かに沖の方でサーフィンをやっている人がいる。結構な距離だ。途中までは遠浅の海岸が続いているが、その先は海の水の色も変化し、明らかに深くなっている

 ただそこを越えると再びリーフが現れるようで、浅くなっているようにも見える。いずれにしても途中の深い海を如何なる方法で越えていこうというのか、一人寂しく思い悩む。

 しかしジョーさん、そんな私の心配に気づいたのかどうか、気がつかないふりをしていたのか、先に立ってジャブジャブ水の中に入っていく。否応なしだ。

 息子と一緒にボードを持って海に入り、適当なところでボードのロープを足に巻き付ける。巻き付けている最中も波が来るので、その度に体が揺れ、倒れそうになる。ああ無情。もちろん誰も助けてくれないし、助けられるのもシャクだ。

 「はい、それじゃボードに乗ってえ」というジョーさんの声。「え〜、ここで乗るのかあ」と思いきや、要するにパドリングで沖に向かえと言うことだった。やっとの思いで、堅くなった股関節に活を入れ、右足を水中から引き出しボードにまたがる。そのままの状態で、すぐにうつぶせになる。「おお、乗った乗った。浮いてるじゃないか」と当たり前のことに感動する。



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「何をしよう」(海関連)


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