映画ツアーを楽しむ(1)

チケット購入

 早速連れと息子を急かし、教えられた場所に向かう。最初の建物から30mぐらいのところだ。小さな建物に入るとチケット売り場を発見。結構人がいる。

 アクティビティの種類はいっぱいあるし、ツアーなのか個人客かも判然としない人々がうろうろしている。何をどうやって買うのかさっぱり分からない。

 たまたま目の前に観光客がいないカウンターがあって、お姉さんと目が合ったので「映画ツアーに参加したいんだすけど、出発は何時でござりましょうか」と尋ねる。

 お姉さん、一瞬考え込んで、時計があると思える壁を見て、なんと「10時40分に出発するから、すぐにチケット買ってあそこに行きなさい、と教えてくれる。時刻を見るとすでに40分を数分過ぎている。律儀なおじさんは焦りに焦る。

 すぐに財布を取り出し「チケットはいくらになるんでありましょうか」と再度尋ねると、かつてネットで調べたとおり一人19ドルという答えが。「おわ〜!、じゃツアーの値段はいったい何なんだ」と言いたかったが、まあツアー会社にも諸般の事情があるのだろう。

 料金の支払いを行いながら、懸念していた最後の質問。「連れは車椅子利用で、足が悪いよって長距離歩けないんだけんど参加していいんかいな」と聞く。するとお姉さん、またしてもちょっと考え込んで「まあちょっと歩けるんなら大丈夫でしょ」と言いながら、ツアーの世話役さんと思われる女性に状況を連絡してくれた。


オンボロバスツアーでレッツゴー!

 時間が過ぎているというのに、先ほどの世話役さんもそれほど焦っていないようなので、我々も安心してゆっくりと指定された方向に向かう。バスの前で世話役さんが2台のバスに客を振り分けている。見るとどうやら1台は日本人が多い。もう1台は欧米人が多い。しかしすでに日本人のバスはほぼ満席だ。

 欧米人側のバスは障害者は前に乗るという慣習を皆が守っているのか、一番前の席が空いている。それを見て取った世話役さん、すぐに欧米人側のバスに我々を案内してくれる。さらに後から遅れてきた数名の日本人も欧米人側に回され、この人たちは乗り込んでくるときちょっと不安そうだった。クアロア牧場 映画ツアーのオンボロバスの運転席

 我々一行は足が悪い者が同行しているという特権をフルに利用して全員一番前に座る。ちなみに車椅子は乗る前に預かってもらった。

 一番前だからすぐに気が付いたのだが、このバス、とんでもなくオンボロだ。本当に走るんかい、という疑問がわく。証拠品として運転席近辺の写真を撮る。息子もそのオンボロさに驚いている。

 また窓には一切ガラスといえるものがはまっていない。すでに動く前からまるでジャングルツアーのようだ。

 しばらくすると大柄な男の運転手さんが乗り込んできた。日本人が多数乗車したバスは、乗客を安心させるためか、日系の細身のおじさんが運転手だった。この先どうなるんだろうと期待で胸が膨らむ。エンジン始動。なんと一発でエンジンがかかった。最初に日本人多数のバスが出発。数分してこちらも出発。

 すぐに運転手さんが挨拶。「アロハ〜!こんにちは、元気か〜い。おらっちの名前は・・・だよ〜ん。これからムービーツアーに行くかんね〜!置いていかれないようにしっかり付いてきてね〜」なんていうようなことを英語でがなり散らしているようだ。雰囲気は同乗の欧米人の反応で分かる。

 「これはこのまま英語でガイドか〜」と思ったとき、「みんな英語分かるっかなあ。分かんない人は正直に手を上げて〜〜!」なんていうアナウンスがあったので、最前列の我々は大喜びかつ欧米人ののりを引き継いで「は〜い!」なんて大声出して手を上げた。内気な息子も手を上げていた。

 しかし喜んで手を上げたのは最前列の我々家族だけだった。後ろの人たちは恥ずかしそうで反応もいまいちだった。以前は我々も遠慮したことが多かったが、最近は分からないのは当たり前、それを隠しても何の得にもならない、と思えるようになった。

 運転手さんのほうは我々の反応を見て、「よっしゃ、分かったよ〜ん。安心してくださ〜い。私は日本語も少し話せますよ〜」なんて日本語で言ってくれる。良かった良かった。一安心だ。

 やはり分からないものは分からないとはっきり言ったほうがいいのだ。分かる振りをしたら、全部英語でガイドされるところだった。



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