勇気を出してさらにもう1歩踏み出す。そして人の声がする右手の部屋を覗いた瞬間「うわ〜!出た〜!」となってしまったら怪談だ。実際には小柄でキュートな黒人女性とばっちり目が合ったのである。
その瞬間、「ペラペラペラ、何たらかんたら・・・・」と言われる。もちろんまったく分からない。
しょうがないので、「ワイキキにあるJCBプラザというところから、紹介されたんすけど・・・・」とぼそぼそ自信無げに話すと、またまた「なんじゃらかんじゃらペラペラペラ・・・」と言われ、先ずはそこに座れと椅子を指差される。
恐る恐る椅子に座ると、2階とおぼしきところからドンドンと階段を下りてくる音が聞こえて、今度は大柄な頼りになりそうな黒人女性が現れた。
どうやらこの人がJCBのNAOKOさんと話をしていたらしい。「事情は聞いてる。安心しなさい。先ずは空気の抜けた車椅子を見せてみなさい」と優しく、分かりやすい英語で話してくれる。
そこでこの女性を伴って再び外に出て、車椅子を見せる。すると「なるほど、とりあえず空気を入れてみるから、ちょっとオフィスで待っててね」と家族一同を優しく扱ってくれる。
借りるつもりが修理になったわけだが、こちらとしてはそのほうが断然ありがたい。ただ、バルブの違いだけはどうにもならないだろうから、結局は駄目だろうと思っていたが、とりあえずおとなしく待っていた。
すると先ほどのおばさんが再び現れて「うまくいきそうだから、もうちょっと待っててね」と明るく教えてくれる。
「え〜!本当?」諦めていただけに喜びもひとしおだ。数分後、「うまくいったよ。ちょっと外に来てね」と言われたので、再び一同ぞろぞろと屋外に出る。
するとどうゆう魔法か、空気の入った車椅子が出迎えてくれたのである。まさに狐につままれたような思いだが、私のつたない英語力では、「どうやったの」と聞くことは出来ても、返事は理解できないだろう。
ランチについてきたチーズパン |
ランチのピザ |
食べ終わる寸前のフィッシュ&チップス |
チョコレートと生クリームのチーズケーキ |
そこで「ありがとう。ありがとう」を連発して財布を出すと、なんと「お金もいりません」と言うではないか。いやはや恐縮してしまった。
チップでも、と考えていたのだが、かたくなに拒否されてしまったので、ここで経緯を詳細に記述し、この文を読んでくれた皆さんに「アイランド・メディカル」を宣伝させてもらうことにした。ちなみに後にも先にも黒人女性と話をしたのはこれが始めてである。
ともあれ、これで車椅子問題が解決。解決に半日を要したので、4泊6日のツアーだったらさぞかし大変だったろうなあと改めて感じた。車椅子のほうは、これ以後帰りの飛行機で再び空気が少し抜けた以外、2週間の滞在中はまったく問題なかった。
ライアンズ・グリルで昼食
ほっとしたら途端に腹が減ってきた。昼はどこにしよう。最大の問題が片付いたんだから、少し落ち着いて食事をしようと考え、前回の旅行で気に入った「ライアンズ・グリル」へ向かうことにした。
多少高額になるが車椅子を借りたと思えば少しは贅沢も許されるだろう。車でワードに移動し、早速直ったばかりの車椅子でエレベーターを利用して2階へ。
車椅子なので段差のある奥のほうの席には行けなかったが、中央付近の雰囲気の良い場所に案内される。
飲み物はレモネード2つ、アイスティー2つを頼む。料理のほうはピザの「ランチ」というものがあったので、試しにこれを一つ。これに「フィッシュ&チップス」、デザート用に「チーズケーキ」なんぞを注文。
人数の割りに注文品数が少ないが、出てくる料理の量が分からないので、いつも少なめに注文している。
ときおりウエイターやウエイトレスが「それだけ?」という顔をするが、そのときは「みんなでシェアするからね」と言う様にしている。
値段は合計48ドル。これにチップを8ドル加えた。およそ6000円の豪華な昼食だが、日本でも4人で食べればこのぐらいいくかも。ただしここで頼んだのは二人分だから、やはりハワイは高いといえるだろう。