いろいろな事件(その3)

カビの生えたパンを息子に食べさせる

 今年のハワイは例年になく湿気が多いようだ。(それでも日本とは全然違うが)そのためかどうか知らないが、いつも買っているホットドッグ用のパンに黒かびが発生した。

 まさかハワイで数日で黒かびが発生するとは思っていなかったので、パン好きの息子の朝食にそのパンを食べさせてしまった。黒かびの跡は、パンを焼いたときの金具の跡だと思っていたのだ。食べながら息子は正直に変な味がする、と訴えていたが、阿呆な親は事の真相にきずかず、こげたんだから変な味がするさ、で済ませてしまった。

 翌日残ったパンを再び食べようと取り上げたとき、昨日より確実に黒い領域が増えていた。ここにいたってようやく気がついた。幸いに極端な下痢や嘔吐がなかったから良かったものの、異国の食材は女房の件もあるが、やはり注意が必要だ。

アップグレードの功罪

 当初のワイキキの宿泊場所はパシフィックモナークを予定していた。ソファーベッドが寝にくいことは分かっていたが、いろいろな場所に移動するときに、そのロケーションが捨てがたかった。しかも予約したハワイアンコンドリゾートの宿泊料はかなり安い。1ベッドルームで1泊82ドルだ。

 ホノルル空港からタクシーに乗り、最初にハワイアンコンドのオフイスに寄りチェックインの手続きをするとともに鍵をもらう。続いて目的のパシフィックモナークに行く。その間タクシーは待っていてもらう。ここまでの英語は完璧に通じた。

 手続きも順調に終了し、契約書を確認しろ、と言われて料金等を確認、クレジットカードの書類にサインをした。鍵には3302と番号が振ってあった。当初の部屋は18階だった筈なので、これはアップグレードされたのかなと思いつつ特に確認しなかった。今日はやけにすばやく終わったなと思いながら急いでタクシーに戻り、パシフィックモナーク行きを告げる。

 パシフィックモナークに到着しスーツケースを降ろし、入り口に入るとカウンターの係員が笑顔でチェックインかと聞いてくるので、そうなのだが我々はバケーションレンタルだ、と答えると、笑顔が消えてしまった

 その後私も大変な事に気がついた。パシフィックモナークはカードキーがないとエレベーターホールに入れないのだが、そのキーをもらっていないのだ。先ほどの笑顔のおじさんに実はカードキーをもらってこなかったのだが、と伝えると、後ろの引き出しからわざわざ出してくれた。恐縮してサンキューといい(チップを渡すべきだったかもしれないが、気が動転して忘れていた)、そのキーを使ってホール内に入った。

 上向きのボタンを押してエレベーターを待ち、ほっとして乗り込む。ところがまたもやびっくり。33階のボタンがない。表示は32階までで、その上はPH、すなわちペントハウスだ。事の真相に気づいていない我々はとりあえず32階まで行ってみたが、もちろん廊下に出ても3302の部屋はない。みんな32○○なのだ。疲れた。スーツケースを見守り、とりあえず女房にPHなる階を見てきてもらったが、その番号の部屋は無いようだった。

 途方にくれていたとき、今度は息子がトイレと言い出した。廊下でさせるわけにもいかず、これにはまいった。部屋には入れず、トイレには行かなくてはいけない。焦りながら冷静に考え、トイレの場所を思い出す。たしかフロントの横にあったような記憶が。

 ということで一目散にフロントに戻り、トイレに駆け込み、とりあえず最初の危機を脱出。落ち着いたところで、改めて今日渡された契約書をしげしげと眺めると、なにやら上のほうに太字でアップグレードの文字が見え、その下にワイキキ・バニアンと書かれているではないか。

 なんで事務所の可愛らしい女の子がそのことを強調してくれなかったのかと悔やみつつハワイアンコンドに電話をした。これまたたどたどしい英語でアップグレードなのか、と尋ねると、予約した部屋に何かトラブルがあってアップグレードしたとの返事。すごく良い部屋だからいいですよ、との事。

 それ以上とやかく言うことが出来ず、とりあえずバニヤンに向かうことにした。スーツケースを二つごろごろ転がしながら手荷物を持っての大移動だ。汗が噴出す。もうこれ以上は勘弁、と思う頃ようやくバニヤンに到着。

 33階に登ると、やっと3302号室のドアに対面。長い道のりだった。鍵を開けて中に入ると、これまでのハワイアンコンドの部屋のイメージを根底から覆すような、素晴らしい部屋だった。

 窓のアコーデイオンカーテンを開けると、青空にクヒオビーチの青がまぶしい。33階からの景観は素晴らしかった。しかも角部屋なのでタンタラス方面も見ることが出来る。これならロケーションは悪くなったが、たしかにアップグレードだなと納得した。

電球交換

 素晴らしいバニアンの部屋だったが、初日の夜になって大変なことに気がついた。バスルームの電球が切れているのだ。暗くなってからわかったので、連絡のしようが無い。結局その日は星明りで風呂に入り、星明りで用を足すことになってしまった。ロマンチックと言えば聞こえはいいが、自分のナニが便器のどの辺に飛んでいるのか見えないのは、結構気になるものだ。

 翌日またもや英語だ。電話をすると、パシフィックモナークからの大移動に気がついたのか、かなり心配している様子だった。そこでよい部屋にアップグレードをありがとう、と言いつつ、それでと言うと、先を制して何かトラブルか、と聞かれたので、ここぞとばかりバスルームの電球を修理してくれ(リペアで通じた)、と頼んだ。すぐに分かったらしく他にはないか、と丁寧に聞いてくるので、今は無いと答えると、安心した様子だった。

 夕方修理のおじさんが来て、こうやれば電球を交換出来るんだよ、簡単なんだ、と説明してくれながら交換終了。ようやく滞在の諸条件が揃った。



マウイ島レストラン


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