搭乗そして離陸

 予定の離陸時間が近づくとアナウンスが始まります。この時最近は座席位置をいくつかのゾーンに分けて搭乗することが多くなっています。

 搭乗は前方左側のドアから入ることが多いので、後方の座席の人が早く乗り込めることになりますが、それよりも前にビジネスクラスやハンディキャップのある人、幼児連れといった優先搭乗もあります。

 乗り込んで、自分の座席を見つけて、当面必要なものは前の座席の背もたれのポケットに入れ、残りのものは天井近くの棚へ収納。

 作業を終えて座席上の枕やひざ掛けを取り除き、椅子に座り込むと「やれやれ、ようやく落ち着いたか」と言った心境になれます。

 その間通路を他の搭乗客が行き来し、なおかつ離陸時間が近づくとフライトアテンダントがベルトのチェック等で歩き回ります。

 ちょっと忙しないなあと感じる時間帯ですが、出発5分ぐらい前になると、ほとんどの人が座席に座り、乗客の中には、夜行便に備えて早くも眠り込んでいる人も見受けられます。

 やがて飛行機はじわりじわりとバックして誘導路に出て、目指す滑走路の離陸地点に向かいます。

 「いよいよ離陸だ」と緊張感が高まる時間帯ですが、成田空港の場合、この時の移動時間がやけに長いです。

 空港内の誘導路を延々飛行機で動き回る感じです。最初は「行くぞ〜!」なんて思って高揚していた気持ちも、この誘導路の時間が長いとちょっと中だるみ状態になります。

 ましてやようやくたどり着いた滑走路の離陸地点に、離陸待機状態の飛行機が何機も見えるとちょっとがっくりです。

 しかしやがて飛行機は滑走路の一番端っこに到着。闘牛場の牛が、赤い旗を目掛けて鼻息を荒くするように、エンジン音が急激に甲高く大きくなり、ある時点でブレーキが外されると猛然とダッシュ。

 今から30数年前生まれて初めて飛行機に乗って沖縄に行ったとき、この離陸時はかなり恐怖感を覚え、思わずひじ掛けを強く握りしめていましたが、今はこの加速感を楽しむことが出来ます。

 ガタガタ揺れながら滑走路を疾走した飛行機は、ある速度に達したところで機首を持ち上げるので、飛行機が上をにらむ様子も想像できます。
 
 さらにしばらく走ると滑走路から聞こえていたタイヤの接触音が聞こえなくなり、振動が嘘のように収まり、一気に大空に向かって上昇。

 この感覚は爽快です。毎度のことですが、心の中で「飛んだ飛んだ」と歓声を上げています。この瞬間も日ごろ感じている悩みを忘れ、心そのものが大空に向かって解放される印象です。

 天気が良ければ窓越しに地上の景色もしばらく見えていますが、ハワイ便の場合、すぐに太平洋上にでてしまいます。この頃になると窓のシェードも降ろされたりして、外の景色は余り楽しめません。



ホノルル空港に着陸


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